北海道は地球の中心
理事長 小檜山 博
ここ十年ほどの間に世界の十五カ国ほどの地域を旅してきて感じたことは、北海道は生活するうえで図抜けて良質の土地だということだった。ニューヨーク、ボストン、ワシントン、ハワイ、中国、韓国、スペイン、シチリア、イタリア、フィリピン、エジプト、トルコ、オーストリア、フランス、中欧をめぐり、そして東京に九年住んで、ぼくはまず冷房病に参り、食べ物のまずさに参った。
もちろん北海道の十二月から三月までの冬の過ごし方は工夫と意欲が必要だが、ぼくは家の窓を四重ガラスにして外からの寒さを断ち、家の中はペチカで薪を焚き、当然、各部屋にストーブをつけ、真冬の外が氷点下十五度のときでもぼくは室内でパンツ一つの裸で冷えたビールを飲んでいる。スキー、スケート、世界一良質の雪をもつ北海道の冬は、工夫ひとつで何とでもなる。
北海道は周囲をオホーツク海、太平洋、日本海、津軽海峡の四つの海に囲まれ、根室は世界三大漁場の一つだ。冷たい海水のため魚に脂がのり、抜群の味となる。トウモロコシ、ジャガイモなどの農産物がおいしいのも、昼間の温度が高く夜の気温が低いため、この昼夜の温度差によって多量の糖分がつくられ、食べ物をうまくしているのである。
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ともあれ北海道の最大の特質は、人間の人柄の良さだ。百二十年前、本州で食いっぱぐれて流れてきた貧乏人の集まりであるゆえに、本州での古い風習、古い歴史観、古いしきたり、古いしがらみをすべて捨て去り、差別のないアメリカ的な自由と平等が育った。この人々の性格の良さこそ北海道が誇る最高の宝である。
こひやま・はく
小説家。1937(昭和12)年、紋別郡滝上町生まれ。代表作に「出刃」(1976年、北方文芸賞)、「光る女」(1983年、泉鏡花文学賞、北海道新聞文学賞)など。



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